JIS H 0500:1998
伸銅品用語
Glossary of terms used in wrought copperand copper alloys

a)伸銅品の種類
1)合金別
このページの先頭へ▲
2)製造方法別
このページの先頭へ▲
3)製品形状別
このページの先頭へ▲
4)用途別
このページの先頭へ▲
5)その他
このページの先頭へ▲
b)加工・熱処理
1)溶解・鋳造
このページの先頭へ▲
2)熱間加工
このページの先頭へ▲
3)冷間加工
このページの先頭へ▲
4)仕上げ加工
このページの先頭へ▲
5)熱処理
このページの先頭へ▲
6)接合・その他
このページの先頭へ▲
c)品質・性能
このページの先頭へ▲
2)その他の特性
このページの先頭へ▲
3)寸法・形状
このページの先頭へ▲
4)表面品質
このページの先頭へ▲
d)試験
1)機械的・物理的特性試験
このページの先頭へ▲
2)その他の試験
このページの先頭へ▲
e)その他
1)金属一般
このページの先頭へ▲
2)腐食
このページの先頭へ▲
3)管継手
このページの先頭へ▲
4)非精製銅・精製銅
このページの先頭へ▲
5)鋳物
このページの先頭へ▲
6)その他
このページの先頭へ▲
伸銅品用語
Glossary of terms used in wrought copperand copper alloys

a)伸銅品の種類
1)合金別
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
銅 | 銅 99.90%以上の金属。 参考 代表的なものに無酸素同,タフピッチ胴,りん脱酸銅などがある。 |
copper |
無酸素銅 | 酸化銅 (I) [Cu2O]や残留脱酸剤を含まない銅 99.96%以上の金属 (C 1011, C 1020)。 参考 電気・熱の伝導性に優れ,還元性雰囲気中で高温加熱しても水素ぜい化を起 こさない。 |
oxygen-free copper |
タフピッチ銅 | 酸化銅 (I) [Cu2O]の状態で酸素を 0.02∼0.05%含む銅 99.90%以上の金属(C 1100)。 参考 電気・熱の伝導性に優れるが,還元性雰囲気中で高温加熱すると水素ぜい化 を起こす場合がある。 |
tough pitch copper |
りん脱酸銅 | りんによって脱酸(2120 参照)され,酸化銅 (I) [Cu2O]を含まない銅 99.90%以上の金 属 (C 1201∼C1221)。 参考 残留りん量によって高りん脱酸銅と低りん脱酸銅とがある。前者は,水素ぜい 化の心配はないが,導電性が低下する。後者は,導電性の低下は少ないが,条件によっ ては水素ぜい化のおそれもある。 |
phosphorous-deoxidized copper |
すず入り銅 | 銅にすずを 0.05∼0.2%,りんを0.04%以下添加した高銅合金。 参考 耐熱性が向上し,リードフレーム,ラジエータ用フィンなどに用いられる。 |
tin bearing copper |
銀入り銅 | 銅に銀を 0.08∼0.25%添加した高銅合金。 参考 耐熱性が向上し,JIS C 2801(整流子片)などに用いられる。 |
silver bearing copper |
ジルコニウム銅 | 銅にジルコニウムを0.02∼0.2%添加した析出硬化形の高銅合金。 参考 強度,導電性,耐熱性に優れ,リードフレームなどに用いられる。 |
copper-zirconium alloys |
クロム銅 | 銅にクロムを0.4∼1.2%添加した析出硬化形の高銅合金。 参考 耐熱性,導電性に優れ,抵抗溶接用電極などに用いられる。 |
copper-chromium alloys |
テルル銅 | 銅にテルルを 0.3∼2.0%添加した高銅合金。 参考 被削性に優れ,放電加工用電極,トーチ火口(ひぐち)などの切削加工材に用 いられる。 |
copper-tellurium alloys |
チタン銅 | 銅にチタンを1.0∼4.0%添加した析出硬化形の高銅合金。 参考 冷間加工(2300参照)と時効硬化処理によってベリリウム銅に匹敵する強度が 得られ,ばね材料などに用いられる。 |
copper-titanium alloys |
ベリリウム銅 | 銅にベリリウム0.4∼2.2%と少量のコバルト,ニッケル及び鉄を添加した析出硬化形の 高銅合金。 参考 冷間加工(2300参照)と時効硬化処理によって鋼に匹敵する強度が得られ,ば ね材料などに用いられる。 |
copper-beryllium alloys |
快削ベリリウム銅 | 銅にベリリウム 0.4∼2.0%,鉛0.2∼1.2%に少量のコバルト,ニッケル及び鉄を添 加した析出硬化形の高銅合金。 参考 鉛を添加してベリリウム銅の被削性を改良したもので,通常,棒として供給され コネクタなどに用いられる。 |
free-cutting copper- beryllium alloys |
鉄入り銅 | 銅に鉄を 0.1∼2.6%,りんを0.01∼0.3%添加した析出硬化形の高銅合金。 参考 時効硬化(2535参照)処理によって強度,耐熱性及び導電性を高めることがで き,リードフレームなどに用いられる。 |
copper-iron alloys |
含りん銅 | りん脱酸銅のりん上限値 (0.040%)以上のりんを添加した銅。 参考 銅めっきのアノードとして用いられる。 |
high phosphorous copper |
丹銅 | 銅 78.5∼96.0%,残り亜鉛からなる合金 (C2100∼C2400)。 参考 淡紅色の色調を呈することによってこの名称がある。建材,装身具などに用い られる。 |
red brass |
黄銅 | 銅を主成分 (59.0∼71.5%) とする亜鉛との合金 (C 2600∼C 2801)。 参考1. ただし,亜鉛以外の元素の添加がある場合は,次のすべてを満たすこと。 a)亜鉛の量が他の各元素より大 b)ニッケル含有量は 5%以下 c)すず含有量は 3.5%以下 2.銅と亜鉛の割合によって 60/40 黄銅,65/35黄銅,70/30 黄銅と呼ばれる場合もある。 |
copper-zinc alloys ;brass |
快削黄銅 | 銅 56.0∼63.0%,鉛1.8∼4.5%,残り亜鉛からなる合金 (C 3560∼C 3713)。 参考 鉛を添加して黄銅(1131参照)の被削性を改良したもので,銅合金中で最高の 被削性をもち,切削加工によってねじ,歯車などに仕上げられ,機械部品などに用いられ る。 |
free-cutting brass |
鍛造用黄銅 | 銅 57.0∼62.0%,鉛0.25∼2.5%,残り亜鉛からなる合金 (C 3712, C3771)。 参考 被削性を害することなく,熱間鍛造性を付与したものである。バルブ,機械部品 などに用いられる。 |
brass for forging ;forging brass |
高力黄銅 | 銅 55.0∼60.5%の黄銅にアルミニウム2.0%以下,マンガン 3.0%以下,鉄 1.5%以下を添 加した合金 (C6782, C 6783)。 参考 黄銅に高強度をもたせたもので,船舶用プロペラ軸,ポンプ軸などに用いられ る。 |
high strength brass |
すず入り黄銅 | 銅 80.0∼95.0%,すず1.5∼3.5%,残り亜鉛からなる合金。 参考 強度,ばね性に優れ,コネクタなどに用いられる。 |
tin bearing brass |
アドミラルティ黄銅 | 銅 70.0∼73.0%,すず 0.9∼1.2%,ひ素0.02∼0.06%,残り亜鉛からなる合 金 (C 4430)。 参考 主に淡水を冷却水とする熱交換器管として用いられる。英国で開発され,軍艦 の復水器管として用いられたので,この名がある。 |
admiralty brass |
ネーバル黄銅 | 銅 59.0∼64.0%,すず0.50∼1.5%,残り亜鉛からなる合金 (C 4621∼C 4641)。 参考 強度と耐海水性に優れている。管板,その他海洋構造材として用いられる。 |
naval brass |
アルミニウム黄銅 | 銅 76.0∼79.0%,アルミニウム 1.8∼2.5%,ひ素0.02∼0.06%,残り亜鉛から なる合金 (C 6870)。 参考 耐海水性に優れ,熱交換器及び復水器用伝熱管に用いられる。けい素,ニッ ケルなどを少量添加したものもある (C 6871, C 6872)。 |
aluminium brass |
青銅 | 銅を主成分とするすずとの合金。 | copper-tin alloys ;bronze |
りん青銅 | 銅を主成分として,すず 3.5∼9.0%,りん0.03∼0.35%を含む合金 (C 5102, C 5111, C5191, C 5210,C 5212)。 参考 ばね性に優れ,電気機器用ばね材などに用いられる。すず1.0∼3.5%の 低すずりん青銅もある。 |
phosphor bronze |
快削りん青銅 | 銅を主成分として,すず 3.5∼5.8%,りん0.01∼0.50%,鉛 0.8∼4.5%,亜鉛 4.5%以下を含む合金 (C5341, C 5441)。 参考 鉛を添加してりん青銅の被削性を改良した合金で,コネクタなどに用いられる。 |
free-cutting phosphor bronze |
アルミニウム青銅 | 銅 77.0∼92.5%,アルミニウム 6.0∼12.0%,鉄1.5∼6.0%,ニッケル 7.0%以 下,マンガン 2.0%以下からなる合金 (C 6140∼C 6301)。 参考 強度,耐食性,耐摩耗性に優れ,車両機械,船舶用部品などに用いられる。 |
copper-aluminium alloys ; aluminium bronze |
白銅 | 銅を主成分として,ニッケル 9.0∼33.0%,鉄0.40∼2.3%マンガン 0.20∼2. 5%,亜鉛 1.0%以下を含む合金 (C 7060∼C 7164)。 参考 耐海水性と高温強度に優れ,熱交換器用伝熱管として用いられる。銅74.0&# 8764;76.0%,ニッケル 24.0∼26.0%の貨幣用の合金もある。 |
copper-nickel alloys ; cupro nickel |
洋白 | 銅 54.0∼75.0%,ニッケル 5.0%以上,マンガン0∼0.50%,残り亜鉛からなる合金 (C 7351∼C 7701)。 参考 銀白色を呈し,耐疲労性,耐食性に優れ,水晶振動子キャップ,洋食器などに 用いられる。 |
copper-nickel-zinc alloys ; nickel silver |
快削洋白 | 銅 60.0∼64.0%,ニッケル 16.5∼19.5%,鉛0.8∼1.8%,マンガン 0∼0. 50%,残り亜鉛ならなる合金(C 7941)。 参考 洋白(1180参照)に鉛を添加して被削性を改良した合金で,ねじ,かぎなどに用 いられる。 |
free-cutting nickel silver |
銅合金 | 銅を主成分とし,それに合金元素を添加した合金 (C 7941)。 | copper alloys |
高銅合金 | 銅を主成分とし,それに合金元素を添加し,銅96.0%以上で他の合金系に属さないもの。 | high copper alloys |
合金番号 | 材料の種類を表す番号。 参考 伸銅品の材質記号は,C と 4 けたの数字で表す。 1位 2 位 3 位 &# 160; 4 位 5 位 第 1 位 銅及び銅合金を表す C。 第 2 位 主要添加元素による合金の系統を表す。 1: Cu・高 Cu 系合金 2: Cu-Zn系合金 3: Cu-Zn-Pb系合金 4: Cu-Zn-Sn系合金 5: Cu-Sn系合金・Cu-Sn-Pb 系合金 6: Cu-Al系合金・Cu-Si 系合金・特殊 Cu-Zn 系合金 7: Cu-Ni系合金・Cu-Ni-Zn 系合金 第 3 位∼5 位 合金系統内における各合金の区別を示す(原則として銅分の多 い順)。 |
alloy number |
形状記号 | 英語名の頭文字をとって,板,条,管,棒,線などの形状別の種類を示した記号。 P:板 (Plate), T:管 (Tube), W:線 (Wire), R:条 (Ribbon), B:棒 (Bar) |
shape designation |
このページの先頭へ▲
2)製造方法別
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
展伸材 | 圧延,押出し,引抜き,鍛造などの熱間又は冷間の塑性加工によって造られた板,条, 管,棒,線などの製品の総称。 |
wrought products |
伸銅品 | 圧延,押出し,引抜き,鍛造などの熱間又は冷間の塑性加工によって造られた銅及び銅 合金の板,条,管,棒,線などの製品の総称。 |
wrought copper and copper alloy products |
ミルハードン材 | 適当な冷間加工と時効硬化処理を施し,規定された機械的性質を付与した材料。 参考 ベリリウム銅に適用される。 |
mill-hardend materials |
押出棒 | 押出しによって最終寸法に仕上げられた棒。 参考 伸銅品の JIS では,合金番号の後に [B (Bar) E (Extruded)] の記 号を付ける。 |
Extruded rod/bar |
引抜棒 | 引抜きによって最終寸法に仕上げられた棒。 参考 伸銅品の JIS では,合金番号の後に [B (Bar) D (Drawing)] の記 号を付ける。 |
drawn rod/bar |
鍛造棒 | 鍛造によって最終寸法に仕上げられた棒。 参考 伸銅品の JIS では,合金番号の後に [B (Bar) F (Forging)] の記号 を付ける。 |
forged rod/bar |
継目無管 | 鋳塊から押出し,圧伸,引抜きなどの加工によって製造された継目のない管。 参考 溶接管と区別した名称。 |
seamless tube |
溶接管 | 板又は条を管状に成形し,管軸方向に溶接して製造された管。 参考 伸銅品では,主に高周波誘導加熱による溶接法が用いられる。伸銅品のJIS では,合金番号の後に [T (Tube)W(Welded)]の記号を付ける。 |
welded tube |
鍛造品 | 工具,金型などを用いて材料の一部又は全部を圧縮したりつち(鎚)打ちしたりして,鍛錬 され成形された展伸材。 参考 鍛造は素材の加熱温度に従って熱間,温間,冷間に分けられる。 |
forging |
熱処理形合金 | 時効硬化熱処理によって強度を高めることが可能な合金。 参考 伸銅品の JIS では,ベリリウム銅 (C 1700, C 1720) がある。 |
heat-treatable alloys |
非熱処理形合金 | 時効硬化熱処理によって強度を高めることが本質的に不可能な合金で,冷間加工だけで 強度を高める合金。 参考 伸銅品の JIS では,ベリリウム銅 (C 1700, C 1720) 以外のものが 該当する。 |
non-heat-treatable alloys |
このページの先頭へ▲
3)製品形状別
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
板 | 0.1mm以上の均一な肉厚で,長方形断面をもち,シャー又はのこ(鋸)切断された平板で供 給される圧延製品。 |
sheet ;plate |
条 | 0.1mm以上の均一な肉厚で,長方形断面をもち,スリットされたコイル形状で供給される圧 延製品。 |
strip ;ribbon |
はく(箔) | 0.1mm未満の均一な肉厚で,長方形断面をもち,スリットされたコイル形状で供給される圧 延製品。 |
foil |
円板 | 丸形のブランク。 | circles |
円形 (えんぎょう) | 圧延された板を丸形に打ち抜いた貨幣用の素材。 | coin blanks |
管板 | 熱交換器などで多数の管を溶接又はエキスパンダーなどで取り付ける板。 | tube plate |
異形条 | 幅方向に厚みの段差をもつ条。 参考 形状の例を次に示す。 |
contour strip ;multi gage strip |
ブランク | 曲げ,打抜き,深絞りなどの加工のために平板から採取された各種形状の金属片。 | blanks |
棒 | 全長にわたって均一な断面をもち,真っすぐな状態で供給される中実の展伸材で,断面形 状が,丸形,正六角形,正方形及び長方形のもの。 |
rod/bar |
異形棒 | 全長にわたって均一な断面をもち,真っすぐな状態で供給される中実の展伸材で,断面形 状が,丸形,正六角形,正方形及び長方形以外の棒。 |
deformed rod/bar |
線 | 全長にわたって均一な断面をもち,コイル形状で供給される中実の展伸材で,断面形状 が,丸形,正六角形,正方形及び長方形のもの。 |
wire |
異形線 | 全長にわたって均一な断面をもち,コイル形状で供給される中実の展伸材で,断面形状 が,丸形,正六角形,正方形及び長方形以外の線。 |
deformed wire |
平角線 | 引抜き又は圧延によって,断面が長方形に仕上げられた線の一種。 参考 コイル形状で供給され,主に大形モーターのローターコイル,ステーターコイル に用いられる。 |
flat wire |
荒引線 | 全長にわたって均一な断面をもち,コイル形状で供給される中実の中間展伸材で,断面形 状が,おおよそ丸形,三角形,多角形の径 6mm 以上の線。 |
drawing stock ;wire rod |
管 | 全長にわたって均一な断面形状と肉厚をもち,真っすぐな状態又はコイル形状で供給され る中空の展伸材。 |
tube ;pipe |
異形管 | 全長にわたって均一な断面形状と肉厚をもち,真っすぐな状態又はコイル形状で供給され る中空の展伸材で,断面形状が,丸形以外の管。 |
deformed tube |
角管 | 正方形又は長方形の断面形状をもつ異形管の一種。 | rectangular or square tube |
へん平管 | へん平の断面形状をもつ異形管の一種。 参考 熱交換器などに用いられる。 |
flattened tube |
フィンチューブ | 有効表面積を増大して伝熱性能を高めるために,内面・外面又は両面に各種フィンを立て た管。 |
finned tube |
Uベンド管 | 真っすぐな管を U 字形に曲げた管。 参考 熱交換器に用いられる。 |
U-bent tube |
内面溝付管 | 管内面に管軸方向に対し,あるねじれ角をもった多数のらせん溝を設け,伝熱性能を高め た管。 参考 主として,空調機器の熱交換器に用いられる。 |
inner helically groved tube |
キャピラリーチューブ | 空調機器,冷蔵庫の冷媒配管などに用いられる極細管。 | capillary tube |
コルゲートチューブ | 管軸方向に対し,あるねじれ角をもった圧入条こん(痕)を付け,よったロープのように成形 加工された管。 参考 乱流効果による伝熱性能の向上が得られ,熱交換器などに用いられる。 |
corrugated tube |
フレキシブルチューブ | 配管系統における管の軸方向の伸縮,横方向の変位,曲げ変位などに適応してたわみが 可能な管。 |
flexible tube |
二重管 | 冷間引抜き又は水圧拡管などによって,異種の金属管を機械的に接合させた管。 参考 管内外の腐食環境が単一管では対応できない場合などに利用される。 |
duplex tube |
このページの先頭へ▲
4)用途別
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
電子管用無酸素銅 | 電子管用として,特別に不純物量を規制した高純度銅(C1011)。 参考 高い導電性,良好なガラス封着性,高い真空保持性などの特性がある。 |
oxygen-free copper for electron devices |
印刷用銅 | グラビア版及び写真凸版用に用いられる銅 (C 1100,C1221, C 1401)。 参考 グラビア版用は,タフピッチ銅,りん脱酸銅などの純銅系で,写真凸版用は,耐 熱性を高めるために,少量のニッケルを添加したものが用いられる。特に表面が平滑で, 高い表面硬度が得られるように仕上げられて,板として用いられる。 |
copper for printing |
ばね用ベリリウム銅 | ばね用材料として,特に時効硬化処理条件及びばね限界値が規定されいるベリリウム胴 (C 1700, C 1720)。 参考 板及び条として,コネクタ,スイッチ,リレー,接点などに用いられる。 |
copper-beryllium alloy for spring |
ばね用りん青銅 | ばね用材料として,ばね限界値が規定されているすず7.0∼9.0%を含むりん青銅 (C5210)。 参考 板及び条として,コネクタ,スイッチ,リレー,接点などに用いられる。 |
phosphor bronze for spring |
ばね用洋白 | ばね用材料として,ばね限界値が規定されている銅54.0∼58.0%,ニッケル 16.5-19. 5%,残り亜鉛からなる合金 (C 7701)。 参考 板及び条として,コネクタ,スイッチ,リレー,接点などに用いられる。 |
nickel silver for spring |
雷管用銅 | 雷管用として用いられ,銅98.0∼99.0%,残り亜鉛からなる合金 (C 2051)。 参考 絞り加工性に優れている。 |
copper for detonators |
楽器弁用黄銅 | 楽器弁用として,黄銅に少量の鉛,マンガン及びすずを添加し,打抜性と耐疲労性とを高 めた特殊黄銅 (C 6711, C 6712)。 参考 板として,ハーモニカ,オルガン,アコーディオンの弁などに用いられる。 |
brass for music lead |
銅ブスバー | 無酸素銅又はタフピッチ銅の長方形の中実断面をもつ導電体 (JIS H 3140)。 | copper bus bar |
ニップル用黄銅 | 自転車のニップル用として用いられ,銅 60.0∼64.0%,鉛0.7∼1.7%,残り亜鉛か らなる合金 (C3501)。 参考 被削性(3172 参照)と冷間鍛造性がよい。 |
brass for nipples |
ヘッダー線 | リベットなどのヘッダー加工に用いられる線。 参考 主として,冷間鍛造性に優れた黄銅などが用いられる。 |
wire for headers |
ワイヤカット線 | ワイヤ放電加工用電極として用いられる線。 参考 線材としては,一般に直径 0.2mm 程度の黄銅が用いられる。 |
electrode wire for electric discharge machine |
配管用銅管 | 医療,給排水,給湯,冷暖房,都市ガス,消火用スプリンクラなどの配管に用いられる銅 管。 参考 基準外径及び肉厚が JIS H 3300に規定されている。 |
copper tube for plumbing |
復水器用黄銅 | 発電所などの復水器管として用いられる黄銅 (C 4430,C6870, C 6871, C 6872)。 参考 アルミニウム黄銅とアドミラルティ黄銅とがある。耐食性に優れ,上記用途のほ かに給水加熱器,蒸留器,油冷却器,造水装置などの伝熱管として用いられる。 |
brass for condensers |
復水器用白銅 | 発電所などの復水器管として用いられる白銅 (C 7060∼C7164)。 参考 耐食性及び高温強度に優れ,上記用途のほかに給水加熱器,化学工業用熱 交換器,造水装置などの伝熱管及び管板として用いられる。 |
cupronickel for condensers |
ブルドン管 | ブルドンゲージなどの圧力駆動型計器に用いられるだ(楕)円形断面をもった薄肉偏平管。 参考 ばね性と耐疲労性が要求されるので,通常,黄銅系,りん青銅系材料が用い られる。 |
bourdon gage tube |
このページの先頭へ▲
5)その他
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
トラバース巻条, ボビン巻条 | 所定の外径をもったドラムにらせん状に巻かれた条。 | traverse wound strip ;bobbin wound strip |
バンチコイル | 管を円筒状に多層巻きしたもの。 参考 巻き方を次に示す。 |
bunch coil |
パンケーキコイル | 管を渦巻き状に単層又は多層に巻いたもの。 参考 幅狭の条をコイル巻きしたものをパンケーキコイルという場合がある。巻き方を 次に示す。 |
pancake coil |
レベルワウンドコイル | 管を円筒状に整列多層巻きしたもの。 参考 主として,空調機器,冷蔵庫などの配管用材料に用いられる巻き方。巻き方を 次に示す。 |
level wound coil |
このページの先頭へ▲
b)加工・熱処理
1)溶解・鋳造
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
地金 | 展伸材及び鍛造品の製造に用いるために,精錬又は溶解・鋳造によって所定の形状に造 られた原料製品の総称。 |
unwrought products |
電気銅地金 | 電気分解によって精製(陰極析出)された粗い表面をもった純度 99.96%以上の銅の板状原 料製品 (JIS H 2121)。 |
cathode copper |
りん銅地金 | 銅及び銅合金の展伸材や鋳物の脱酸剤,りん添加剤などに用いる銅とりんの合金地金 (JIS H 2501)。 |
phosphor copper metal |
ベリリウム銅地金 | 銅とベリリウムからなる合金地金 (JIS H 2504)。 参考 通常,ベリリウム含有率が 4.0%と3.5%のものがある。ベリリウム母合金ともい う。 |
copper beryllium master alloys |
母合金 | 合金組成の調整のために,溶湯に添加することだけを目的として造られた合金。 | master alloys ; mother alloys |
脱酸 | 金属又は合金の溶湯中の酸素を除去する処理。 参考 りん,マンガンなどが脱酸剤として用いられる。 |
deoxidizing |
鋳塊 | 圧延,押出しなどの工程に供給するために造られた,断面が長方形又は円形の鋳造のま まの加工用素材。 参考 断面が長方形のものは,ケークと呼び,断面が円形のものはビレットと呼ぶ。 |
ingots |
形銅 (かたどう) | 銅の展伸材の加工に適した形状に鋳造された加工用素材。 参考 形状によってビレット,ケークに分けられる。 |
copper billets and cakes |
ケーク | 鋳塊から所定の長さに切断された長方形断面をもつ加工用素材。 参考 板,条などの製造に用いる。 |
cakes |
ビレット | 鋳塊から所定の長さに切断された円形断面をもつ加工用素材。 参考 管,棒,線などの製造に用いる。 |
billets |
このページの先頭へ▲
2)熱間加工
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
熱間加工 | ひずみ硬化を生じないような温度範囲で行う金属又は合金の塑性加工。 | hot working |
熱間圧延 | 再結晶温度以上の延性が大きい温度範囲で,ロール間に材料を通して板厚を圧下減少 させ,所定の形状にする塑性加工。 参考 銅及び銅合金では,通常,650∼950℃の温度に加熱して圧延する。 |
hot rolling |
熱間圧延上り | 熱間圧延だけによって仕上げられる製品。 参考 伸銅品の JIS では,形状記号の後に質別を示す [F(Fabricated)]を付 ける。銅及び銅合金では,通常,650∼950℃の温度に加熱して圧延する。 |
hot rolled finish |
押出し | 加熱したビレットをコンテナの中に入れて圧力を加え,ダイスを通して所定の形状にする 加工。 参考 銅及び銅合金では,通常,650∼950℃の温度に加熱して押出しする。 |
extrusion |
押出上り | 管,棒,線などにおいて,押出しだけによって仕上げられる製品。 参考 伸銅品の棒の JIS (JIS H 3250) では,形状記号の後に製法を示す[E (Extrud-ed)]を付ける。銅及び銅合金では,通常,650∼950℃の温度に加熱して押 出しする。 |
extruded finish |
熱間鍛造 | 鋳塊又は展伸材から切り出した加工片を熱間で繰り返しつち(鎚)打ちするか又は金型に よって圧縮して成形する塑性加工。 |
hot forging |
このページの先頭へ▲
3)冷間加工
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
冷間加工 | ひずみ硬化が生じるような温度範囲で行う金属又は合金の塑性加工。 | cold working |
冷間圧延 | 再結晶を生じない温度範囲で,ロール間に材料を通して板厚を圧下減少させ,所定の形 状にする塑性加工。 参考 通常,冷間圧延は,粗圧延,中間圧延,仕上げ圧延の 3 工程がある。 |
cold rolling |
粗圧延 | 板,条製品の製造において,最初に行う冷間圧延。 参考 中間圧延,仕上げ圧延に対比して用いる用語。 |
rough rolling |
中間圧延 | 粗圧延と仕上げ圧延の中間で行われる圧延。 | intermediate rolling |
仕上げ圧延 | 所定の板厚及び質別を得るための最終圧延。 | finish rolling |
スキンパス | 板,条,管,線などの表面つや出し又はひずみ矯正のために行う軽度の圧延(磨きロー ル,無潤滑)又は引抜き加工。 |
skin pass |
調質圧延 | 板及び条で所定の質別及び表面につやを出すために行う軽度の圧延。 | temper rolling |
ロール上り | 所定の板厚,質別及び表面につやを出すため最終圧延によって仕上げられる製品。 参考 冷間圧延上りともいう。 |
cold rolled finish |
加工率 | 冷間圧延,引抜きなどの加工によって減少した断面積の原断面積に対する割合。 参考 加工硬化,質別の目安となる。 |
reduction ratios |
加工硬化 | 冷間圧延,引抜きなどの加工を冷間で行った場合,加工ひずみ(歪)の増大に伴って材 料が硬化する現象。 参考 ひずみ硬化ともいう。 |
work hardening ; strain hardening |
加工硬化曲線 | 縦軸に硬さ,引張強さ,伸びなどの機械的性質を,横軸に冷間加工における加工率を取 り,加工率の増加に伴って加工硬化によってこれらの性質が変化する状況を示した曲 線。 参考 例として C 2680 R(黄銅条:厚さ0.7mm)の加工硬化曲線を次に示す。 |
work hardening curves ; strain hardening curves |
引抜き | 管,棒及び線の製造において,ダイスを通して断面積を減少させ,所定の形状にする塑 性加工。 参考 管の場合は,通常,管内部にプラグを入れて加工する。 |
drawing |
空引き | 管の引抜き加工において,仕上げられた管を,更に管内にプラグを入れずに,ダイスだ けで引抜く塑性加工。 |
sinking |
応力除去 | 低温焼鈍又は問題となるような寸法変化を生じない機械的な処理によって,製品の残留 応力を低減させる加工。 |
stress relieving |
冷間鍛造 | 展伸材から切り出した加工片を常温で,繰り返しつち(鎚)打ちするか又は金型によって 圧縮し成形する塑性加工。 |
cold forging |
このページの先頭へ▲
4)仕上げ加工
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
矯正 | 管,棒及び線の曲がり又は板の平らさを調整する加工。 | straightening ;leveling |
テンション・レベリング | 板及び条に張力を加え,変形を機械的に除去する方法。 | tension leveling |
スリッティング | 上下一対の回転丸刃工具によって,幅広条材を長手方向に切断する加工。 | slitting |
面削仕上げ | 所定の寸法及び表面状態を得るために機械切削によって仕上げたもの。 | machined finish |
スカルピング | 回転切削機又はカッターヘッドを用いて材料の表面欠陥を除去する加工。 参考 熱間圧延上りの表面酸化物などの表面欠陥を取り除くために行う。 |
scalping ;mealing |
化学研磨仕上げ | 材料の光輝面を得るため,化学研磨で仕上げたもの。 参考 伸銅品で用いられる代表的研磨浴例としては,キリンス浴(硝酸+硫酸+塩化 水素+水),過酸化水素浴(過酸化水素+水素+添加剤)がある。 |
chemical bright dip finish |
ストライプめっき | 材料表面に,ある幅をもって長さ方向に帯状に施した部分めっき。 参考 銅合金のリードフレームに用いられる。 |
stripe plating |
スポットめっき | 材料の表面に点(スポット)状に施されためっき。 | spot plating |
銅下地めっき, 銅下めっき | 下地処理として施される銅めっき。 参考 仕上げめっきの前工程で,主として密着性を向上させるために行う。 |
copper strike |
このページの先頭へ▲
5)熱処理
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
焼なまし, 焼鈍 (しょうどん) | 冷間加工の結果生じたひずみ硬化を除去することによるか,固溶体からの析出を粗大化 させることによるか,又は再結晶させることによって金属を軟化させる熱処理。 |
annealing |
中間焼なまし, 中間焼鈍 | 冷間加工で硬化した材料を軟化し,引き続いて行う冷間加工を容易にする目的で,再結晶 温度以上で行う焼なまし。 |
process annealing |
仕上げ焼なまし, 仕上げ焼鈍 | 所要の性質を得るために,製造の最終段階で行う焼なまし。 | final annealing |
応力除去焼なまし, 応力除去 焼鈍 |
一般に再結晶温度以下の適温に加熱して,鋳造,加工,溶接などによって材料に生じた残 留応力を低減させる焼なまし。 |
strees relief annealing |
低温焼なまし, 低温焼鈍 | 内部ひずみ(歪)を除去するため又は機械的性質を改善するために行う再結晶温度以下 での熱処理。 |
low temperature annealing |
バッチ焼なまし, バッチ焼鈍 | 一定量の材料を静置した状態で行う焼なまし。 | batch annealing |
連続焼なまし, 連続焼鈍 | 材料を炉中で連続的に動かしながら行う焼なまし。 | continuous annealing |
テンション・アニーリング | 条又は線に張力を加えながら行う低温熱処理。 参考 加工による残留応力及びひずみの除去とばね性などの機械的性質を改善す る目的で行う。 |
tension annealing |
光輝焼なまし, 光輝焼鈍 | 表面の酸化を防止し,金属光沢を失わないように保護雰囲気中又は真空中で行う熱処 理。 |
bright annealing |
雰囲気焼なまし, 雰囲気焼鈍 | 調節された雰囲気ガス中で行う熱処理。 参考 雰囲気ガスの組成は,目的に応じて,還元性,不活性などに調整される。ほか に[真空焼なまし(真空焼鈍)]がある。 |
controlled atmosphere annealing |
不完全焼なまし, 不完全焼鈍 | 冷間加工した材料の強度的性質を所定水準に下げるために行う焼なまし。 | partial annealing |
肌荒れ | 焼なまし温度が高く結晶粒が粗大化した材料で,曲げ,絞りなどの加工を施した場合に生 じるオレンジの皮に類似した表面の荒れ。 |
orange peel surfaces |
焼なまし軟化曲線, 焼鈍軟化 曲線 |
加工硬化した材料を,種々の温度で一定時間熱処理したときの軟化の状況を,熱処理温 度と常温での機械的性質との関係で示した曲線。 参考 例として C 1220 P(りん脱酸銅板)の焼なまし軟化曲線(30分保持後,空冷)を 次に示す。 |
softening curves |
溶体化処理 | 熱処理合金を固溶限温度以上の適温に加熱し,合金成分を十分に固溶させた後,急冷さ せて過飽和固溶状態にする熱処理。 |
solution heat treatment |
自然時効 | 室温に放置することによって自然に過飽和固溶体から微細な二次相を析出させる熱処 理。 |
natural ageing |
人工時効, 析出熱処理 | 室温以上で加熱することによって過飽和固溶体から微細な二次相を析出させる熱処理。 | artificial ageing ;precipitation heat treatment |
溶体化処理兼人工時効, 完 全熱処理 |
溶体化処理に続く析出熱処理(人工時効)。 | solution treated and artificially aged ;full heat treatment |
焼入れ | 合金成分の一部又は全部を固溶させるために,高温から十分な速さで被処理材を冷媒 (固溶,液体又は気体)と接触させて冷却させる熱処理。 |
quenching |
時効硬化 | 所定の温度に保持することによって過飽和固溶体から微細な二次相が析出するために生 じる硬化。 参考 時効硬化型合金としては,ベリリウム銅などがある。 |
age hardening ;precipitation hardening |
析出硬化 | 過飽和固溶体から金属間化合物などの異相が析出することによって起こる硬化。 | precipitation hardening |
ソーキング | 拡散によって化学成分の偏析を除去ないし減少させるために,金属又は合金を高温で十 分な時間加熱する熱処理。 参考 一般に,鋳塊(2160 参照)に対して行う。 |
soaking ;homogenizing |
連続焼なまし酸洗, 連続焼鈍 酸洗 |
条又は線のコイルを巻き戻しながら連続的に焼なましと酸洗とを行い,巻き取って仕上げ る処理。 参考 通常,この一連の設備を AP ライン又は CAPともいう。 |
continuous annealing and pickling |
双晶 | 一つの結晶粒の中で,結晶格子の構造は同じであるが,ある一定の面(双晶面という。)を 境界にして,互いに鏡面対称となっているような結晶。 参考 伸銅品の双晶の例を次に示す。 |
twins |
このページの先頭へ▲
6)接合・その他
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
ロールフォーミング | 直列に配置した多数組の成形ロールによって,条材から長尺の同一断面形状製品に成 形する加工。 参考 屋根材,とい(樋)などの加工に用いられる。 |
roll forming |
はんだ付 | 450℃未満の低融点のはんだ(軟ろうともいう。)を用いて,母材金属を接合する方法。 参考 代表的なはんだには,すずと鉛の合金 (JIS Z 3282)がある。 |
soldering |
ろう付 | 450℃以上で,母材の融点より低い融点のろう材を用いて母材金属を接合する方法。 参考 代表的なろう材には,銀ろう (JIS Z 3261),りん銅ろう (JIS Z 3264) がある。 |
brazing |
このページの先頭へ▲
c)品質・性能
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
引張強さ | 引張試験において,最大荷重を試験片の平行部の原断面積で除した値 (JIS Z 2241)。 |
tensile strength |
耐力 | 引張試験において,規定された永久伸びを生じるときの荷重を試験片の平行部の原断面 積で除した値 (JIS Z 2241)。 参考 降伏点が明りょう(瞭)でない伸銅品では,降伏応力の代わりに耐力が用いら れる。なお,伸銅品では,通常,オフセット法が用いられ,この場合,特に規定のない場合 には,永久伸びの値を0.2%とする。 |
yield strength ;proof stress |
伸び | 引張試験において,試験片が破断したとき,その標点間の長さ Lと元の標点距離 Loとの 差。 参考1. JISでは,この差を標点距離に対する百分率で表す。 破断伸び(δ)=(L-Lo)/Lo×100 (%) 2.全伸びと破断伸びとがあり,伸銅品では破断伸びを用いる。 |
elongation (after fracture) |
断面絞り | 引張試験において,くびれ破断した箇所の断面積の原断面積に対する比率。 参考 延性を評価するのに用い,単に絞りともいう。 (原断面積−くびれた部分の断面積)/原断面積×100(%) で表す。 |
reduction of area (after fracture) |
ビッカース硬さ | 対面角が 136度のダイヤモンド四角すい圧子を用い,試験面にくぼみを付けたとき,用い た試験荷重を永久くぼみの対角線長さから求めた永久くぼみの表面積(mm2)で除した値& #160;(JIS Z 2244)。 参考1. 硬さ記号は,HV を用いる。 2.伸銅品(1201 参照)では,主としてビッカース硬さを用いる(JIS Z 3300 を除く。)。 |
vickers hardness |
ロックウェル硬さ | ダイヤモンド圧子又は鋼球圧子を用いて,まず初荷重を加え,次に試験荷重を加え,再び 初荷重に戻したとき,前後2 回の初荷重における圧子侵入深さの差 h から硬さ(HR)の定 義式 HR=a−bh で算出される値。 ここに,a 及び b は,ロックウェル硬さのスケールごとに定められた固有の値である (JIS Z 2245)。 参考1. JIS では,初荷重98.07Nのときロックウェル硬さ,29.42N のときロックウェル スーパーフィシャル硬さという。 2.伸銅品の JIS では,JIS H 3300でスーパーフィシャル硬さが適用されている。 |
rockwell hardness |
ブリネル硬さ | 鋼球圧子又は超硬合金圧子を用い,試験面にくぼみを付けたとき,用いた試験荷重を球 状の永久くぼみの表面積(mm2)で除した値 (JIS Z 2243)。 参考1. 鋼球圧子を用いたときには,硬さ記号HBSを,また超硬合金球圧子のときに は,HBWを用いる。 2.伸銅品の JIS では,JIS H 3250のアルミニウム青銅に適用されている。 |
brinell hardness |
ショア硬さ | 試料の試験面上に一定の高さ (ho)から落下させたハンマのはね上がり高さ (h) で,次の式で算出される値(JIS Z 2246) HS=kh/h。 参考1. k は,ショア硬さ基準片で決まる係数である。JIS Z2246では,ショア硬さ基準 片の基準硬さは,ビッカース硬さを基準に一定の換算式で求められている。 2. 伸銅品では,簡便法として受入検査などで用いられる場合がある。 |
shore hardness |
ばね限界値 | 材料に曲げる力を与えたとき,所定の永久たわみ(例えば0.075mm 又は 0.1mm)を生じた ときの表面最大応力値。 参考 伸銅品の JIS では,JIS H3130に,繰返したわみ試験とモーメント式試験の2通 りの試験方法が規定されている。 |
spring bending elastic limit |
表面最大応力値 | 永久たわみを生じない最大応力を与えたとき,材料の最外表層に生じる応力値。 参考 伸銅品では,ばね性の強度的評価を見るのに用いられる。 |
maximum outer fibre bending stress |
被削性 | 切削加工の難易さ。 参考 切削加工の難易さは,定量的に表現し難いので標準材料として C3600 の被削 性を 100 として比較している。 |
machinability |
異方性 | 板及び条の機械的性質が面上の方向によって違う性質。 参考 異方性がある板及び条を深絞り加工すると口縁部に幾つかの耳状突起ができ る。 |
anisotropy |
応力緩和 | 材料に一定のひずみを加えて放置したとき,初期応力が時間とともに減少してくる現象。 参考 減少した応力を緩和応力といい,これに対応するひずみを塑性ひずみという。 |
stress relaxation |
このページの先頭へ▲
2)その他の特性
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
導電率 | 単位長さ,単位断面積をもつ材料の電気伝導度と標準軟銅のそれとの比。 参考 導電率の算出は,20℃における標準軟銅の体積抵抗率 (1.7241µ Ωm×10^−2)を測定する材料の体積抵抗率で除し,百分率で表す。 |
electrical conductivity |
体積抵抗率 | 単位長さ,単位断面積をもつ材料の電気抵抗値。 参考 単位は, [µΩm] で表す。 |
electrical resistivity |
熱伝導性 | ふく(輻)射や対流によらないで,熱が物質内を伝わる性質。 参考 熱の伝わりやすさを熱伝導率で表す。銅及び銅合金の熱伝導率と導電率の関 係は,次に示すようにほぼ比例関係にある。 |
thermal conductivity |
非磁性 | 磁界(又は磁場)と相互作用を及ぼさない性質。 参考 伸銅品では,表層に弱い磁性を示す。 |
non magnetism |
水素ぜい性 | 酸素を含む銅が高温で水素を吸収し,もろくなる性質。 参考 酸素を含む銅を,水素を含む還元気体中で400℃以上に加熱すると,銅中の 酸化銅が還元されて水蒸気を生じ,この圧力で結晶粒界に細かいき裂が生じてもろくな る。 |
hydrogen embrittlement |
はんだぬれ性 | 金属表面で溶融したはんだ及びろうがはじけないで広がる性質。 | solder wettability |
酸化膜のはく離性 | 金属表面に生成した酸化膜の素地との密着性の程度。 参考 伸銅品では,電子管用無酸素銅の板,条,継目無管,棒及び線 (JIS H 3510) にはく離試験が規定されている。 |
oxide film adhesiveness |
このページの先頭へ▲
3)寸法・形状
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
寸法許容差 | 寸法において,規定された基準値と規定された限界値との差。 参考 JIS H 3300の寸法許容差には等級として,普通級とより厳しい特殊級がある。 |
dimentional tolerance |
呼び径 | 配管用管材の外径を表すために用いられる呼び方。 参考 JIS H 3300 に規定されている配管用銅管 (C1020・C 1220) の呼び径 を,次に示す。 |
nominal diameter |
基準外径 | 配管用管材において,呼び径に対して決められた基準となる外径寸法。 | standard outside diameter |
平均径 | 管又は丸棒の任意の断面において測った最大外径と最小外径との平均値。 参考 管の場合は,最大内径と最小内径との平均値をいうこともある。 |
average diameter |
真円度 | 管の場合は,任意の断面において測った最大外径と最小外径との差の指定外径に対する 割合。丸棒及び線の場合は,任意の断面において測った最大径と最小径との差。 |
circulality |
平板のひずみ | 平板状製品の平らさの程度。 参考1. 圧延方向に垂直に出る波打ちのこと。 2. JIS H3100に規定されているひずみの測定方法は,次のとおりである。 |
flatness |
板条の中高 (なかだか) | 板及び条の中央部と耳部との厚さの差。 参考 通常,ワークロールのたわみによって板の中央部が厚くなること。 |
sheet crowns |
端伸び | 板及び条の幅端部が平たんでなく,凹凸が認められる状態の総称,又は度合い。 参考 幅端部が繰り返し波打つのが特徴である。また,中央部が伸びることがあり, それを中伸び (center waves) という。 |
edge waves |
カール | 条の長さ方向のそり。 参考 [巻きくせ]のこと。 |
curls |
ガッター, クロスボウ | 条の幅方向のわん曲で,幅端部のそり上がる状態の総称,又はそのときのそりの度合 い。 参考 [幅ぞり]ともいう。 |
gutters ;cross bows |
エッジドロップ | 幅方向の板厚において,両端付近に生じる急に薄くなった部分。 | edge drops |
曲がり | 条,管及び棒の真直度を表す量。 参考1. 全長又は規定の長さに対する弧の深さをいい, [mm]単位で表す。 2. 伸銅品の JIS では,JIS H 3260以外の規格に適用されている。 3.条の長さ方向に対する幅方向の曲がり変位を条の曲がり (edgewise curvature) といい, 一方向の曲がりと蛇行とがある。 |
bend ;camber |
ツイスト | 条のねじれ。 | twists |
バリ | スリット,せん断,打抜き,のこ(鋸)切断などの作業によって切断部に生じる薄い突起。 参考 [かえり]ともいう。 |
burr |
このページの先頭へ▲
4)表面品質
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
矯正マーク | 管,棒及び線のロール矯正などによって生じる表面のらせん状の模様。 | spiral marks |
ダイスマーク | ダイスに生じたきずが原因で,押出し又は引抜きの際,製品(管,棒及び線)の長手方向 に発生した線模様及びきず。 |
die marks |
リングマーク | 引抜工程で発生する竹の節状の凹凸。 参考 [ストップマーク]ともいう。 |
ring marks |
ロールマーク | 研磨によって圧延ロールに生じた条こん(痕)が,圧延の際,製品の表面に転写されて発 生した模様。 |
roll marks |
研磨目 | ブラシ及び研磨剤などによって生じる表面の線模様。 | polishing marks |
びびり | 周期的な表面の凹凸。 参考 冷間圧延,引抜きなどによって生じる。 |
chattering marks |
表面粗さ | 金属表面の微小な凹凸の程度。 参考 代表的な表面粗さの表示には,基準面から最も深い谷底までの距離を [Ry]として [µm]単位で表す。 |
surface roughness |
変色 | 材料表面が酸化,硫化などによって色が変化した状態。 備考 表面品質に影響するので注意を要する。 |
discoloration |
オイルスティン | 潤滑油の不完全な除去又は焼付きによって,製品表面に局部的に生成した褐色又は黒色 の変色。 |
oil stains |
レッドスティン | 黄銅系材料において,焼鈍中に亜鉛の蒸発又は酸洗中の銅の沈着によって生じる淡赤又 は赤色の表面変色。 |
red stains |
このページの先頭へ▲
d)試験
1)機械的・物理的特性試験
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
繰返し曲げ試験 | 特定半径の円弧をもつ一対のつかみに固定し,他端をたわまないように引っ張りながら, 円弧に沿って90 度ずつ順逆方向に交互に繰返し曲げを行い,破断までの繰返し回数を調 べる試験。 参考1. 伸銅品の JIS では,JIS H3510に適用されている。 2.この試験の 1 種類として,リードフレームのリード部を片側 90 度の繰返し曲げを行い, 破断までの繰返し回数(往復を 1回と数える。)を調べるリード・ファティグ・テスト (lead fatiguetest) がある。 |
reverse bend test |
押広げ試験 | 管状試験片の一端を通常 60度の角度をもつ円すい(錐)形の工具で,所定の大きさ(押広 げ倍率)まで,ラッパ形に外径を押し広げて,表面に割れが生じたかどうかを調べる試験。 参考 伸銅品の JIS では,JIS H 3300に適用されている。 |
expansion test ;flaring test |
へん平試験 | 一定の長さ(約 100mm)の管状試験片を用い,2枚の平板間に挟んで直径方向に荷重を 加え,平板の距離が規定の距離に達するまで圧縮し,へん平にして,管の表面に割れが 生じたかどうかを調べる試験。 参考 伸銅品の JIS では,JIS H 3300に適用されている。 |
flattening test |
深絞り試験 | 材料から一定の円板(径約24.3mm)を打ち抜き,これをポンチ及びダイスを用いて平底付 き円筒に絞り加工し,その際にできる耳の高さを測定値として,材料の深絞り加工性を判 定する試験。 参考 伸銅品の JIS では,JIS H 3100の C 2051 Rにだけ適用されている。 |
deep drawability test |
ばね限界値試験 | 厚さ 0.2∼1.6mmの板ばね材料のばね限界値を求める試験。 参考1. 試験には,繰返したわみ式試験とモーメント式試験とがある。伸銅品のJISで は,JIS H 3130に適用されている。 2.ばね限界値は,測定される試料の自由端における永久たわみ変位量 0.1mm 又 は0. 075mmに対応する固定端における表面最大応力値kb0.1又は kb0,075 [N/mm2]で表す。 |
spring elastic limit test |
巻付け試験 | 線状試験片を直径の 2 倍の心金に 3回以上巻き付け,破断やきずなどの発生状況を調 べる試験。 参考 伸銅品の JIS では,JIS H3270の一部に適用されている。 |
coiling test |
このページの先頭へ▲
2)その他の試験
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
時期割れ試験 | 材料に実用上有害となるような残留応力が存在しているかどうかを調べる試験。 参考 アンモニア試験と水銀試験とがあるが,伸銅品のJISでは環境面を考慮し, JIS H 3250,JIS H 3300,JIS H 3320にはアンモニア試験だけが適用されている。 |
season cracking test ;stress corrosion test |
アンモニア試験 | 時期割れ試験の一つで,試験片をアンモニアガス中に一定時間(2時間)暴露し,割れの有 無を調べて実用上有害となるような残留応力の有無を確認する試験。 参考1. 試験装置例を示す。 2.伸銅品の JIS では,JIS H 3250,JIS H 3300,JIS H 3320 に適用されている。 |
ammonia test |
水銀試験 | 時期割れ試験の一つで,試験片を硝酸第1水銀溶液中に一定時間(15分間)浸せきし,割 れの有無を調べて実用上有害となるような残留応力の有無を確認する試験。 参考 伸銅品の JIS では,環境面を考慮して適用されていない。 |
mercurous nitrate test |
水素ぜい化試験 | 試験片を水素ガス気流中で,所定の温度(850±25℃),時間(30 分間)で加熱した後, 顕微鏡による検査(75∼200倍)又は繰返し曲げ試験を行って水素ぜい性の程度を 判定する試験。 参考 伸銅品の JIS では,C 1020,C 1201及び C1221 に適用されている。 |
hydrogen embrittlement test |
はく離試験 | 試験片を 850℃の炉中に置き,30分間加熱酸化した後,水冷して酸化膜のはく離の有無 を目視で調べる試験。 参考 伸銅品の JIS では,JIS H 3510に適用されている。 |
flaking test of oxide film |
脱亜鉛腐食試験 | 銅−亜鉛系合金の脱亜鉛腐食を起こしやすい条件において,その耐食性を評価す るために行う腐食促進試験。 参考 代表的試験法として,ISO6509(1%CuCl2温液中浸透法)と日本伸銅協会技術 標準JBMA-T303(定電流アノード分極法)とがある。 |
dezincification test |
このページの先頭へ▲
e)その他
1)金属一般
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
合金 | 母金属元素(量的に多い元素)と合金元素や不純物のような他の元素との混合物からなる 金属物質。 |
alloy |
合金元素 | ある特性を付与する目的で,母金属に添加され,又は包含される金属,又は非金属元素。 | alloying element |
不純物 | 母金属又は合金に対し,意識的に添加されたものではない少量の金属又は非金属元素。 | impurity |
展伸用合金 | 熱間及び/又は冷間の塑性変形による展伸材の製造を主に意図した合金。 | wrought alloy |
鋳物用合金 | 鋳物の製造を主に意図した合金。 | casting alloy |
酸化銅 | 銅及び高銅合金などを,酸化雰囲気中で加熱する際に,表面に生成する銅と酸素の化合 物。 参考 酸化銅 (II) [CuO],酸化銅 (I) [Cu2O]の 2種類があり,前者は最表層部に生成 し,黒色を呈し,後者は前者の下層部に生成し,赤褐色を呈す。 |
copper oxide |
緑青 (ろくしょう) | 銅及び銅合金表面に生じる青緑色の化合物のことで,水分,CO2ガス及びSO2ガスなどの 作用によって生成された塩基性炭酸銅,塩基性硫酸銅などを主成分とする腐食生成物。 参考 水に溶けず無害であり,また素地の保護被膜となる。 |
patina |
形材 | 全長にわたって断面が同形で,棒,線,管,板及び条とは異なる断面をもち,真っすぐな状 態かコイル状で供給される展伸製品。 |
profile |
鍛造素材 | 鍛造用に適した例えば,棒又は他の断面をもつ熱間加工した中実の中間製品。 参考 鍛造素材は,鍛造品であってもよい。 |
forging stock |
スラグ | 展伸材から得られる小さな予備成形品。 参考1. スラグは,中心に孔のあるものかないもので供給される。鍛造品から得られ てもよい。 2.鍛造,冷間押出しなど,後加工の材料となる。 |
slug |
このページの先頭へ▲
2)腐食
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
ガルパニック腐食 | 異種の金属が電解質溶液を介して電気回路ができたとき,両者の腐食電位の違いのた め,よりひ(卑)な電位の金属の腐食が促進される現象。 |
galvanic corrosion |
脱亜鉛腐食 | 銅−亜鉛系合金において,合金中の亜鉛だけが腐食溶出し,後に多孔質の銅と腐 食生成物が残る現象,又は合金の両成分が溶解し,銅だけが再析出する現象。 |
dezincification corrosion |
孔食 | 金属内外部に生じた局部的な腐食がピット状に進行した現象。 | pitting corrosion |
かい(潰)食 | 金属表面にできた酸化膜などが,流体の衝撃などによって継続的に破壊され,その部分 が陽極となって比較的急速に進行する腐食現象。 参考 配管のわん曲部,熱交換器管の入口部などで生じやすい。 |
impingement attack ;erosion |
擦過腐食 (さっかふしょく) | 近接した金属同志の表面が,微小振幅の振動などでお互いにこすられることが原因で起こ る腐食現象。 |
fretting corrosion |
応力腐食割れ | 材料が,ある値以上の引張応力とある種の腐食媒との共存下で,腐食によって誘導される 割れ。 |
stress corrosion cracking |
時期割れ | 製造過程で材料中に残留した引張応力によって起こる割れ。 参考 応力腐食割れの一種。 |
season cracking |
このページの先頭へ▲
3)管継手
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
銅管継手 | 配管用銅管のはんだ付・ろう付用の銅及び銅合金製の接合部品 (JIS H 3401)。 参考 そのほかに社団法人日本銅センター規格(JCDA-1990銅及び銅合金の管継 手),社団法人日本水道協会規格(JWWA H 102 水道用銅管継手)がある。 |
pipe fittings |
T (ティー) | 配管接合継手の形状で,3 方向分岐の T 形のもの。 参考 ティーズともいわれる。 |
tees |
エルボ | 配管接合継手の形状で,L 形のもの。 | elbows |
だ円値 | 銅管継手の実測最大外径(内径)と実測最小外径(内径)との差。 | ovality |
形式検査 | 銅管継手製品の品質が設計で示されたすべての品質項目を満足するかどうかを判定する ための検査。 参考 伸銅品の JIS では,JIS H3401(銅及び銅合金の管継手)に適用されている。 |
type inspection |
受渡検査 | 銅管継手の形式検査に合格したものと同じ設計・製造にかかわる製品の受渡しに際して, 必要と認められる品質項目が満足するものであるかどうかを判定するための検査。 参考 伸銅品の JIS では,JIS H 3401に適用されている。 |
delivery inspection |
このページの先頭へ▲
4)非精製銅・精製銅
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
銅マット, 銅かわ(ハ) | 主として硫化鉄と硫化銅からなる中間製品で,転炉で酸化してブリスターと呼ぶ金属銅に するもの。 |
copper matte |
ブラックカパー | 通常,溶鉱炉で不純物の多い銅スクラップや酸化鉱を原料として,産出する不純物を多量 に含有する銅。 参考 銅含有量は大きく変動し,普通約 60∼80%の範囲にある。 |
black copper |
ブリスター, 粗銅 | 溶融銅マットに空気を吹き込み,産出する不純物を多量に含有する銅。 参考 転炉工程で硫黄,鉄,その他不純物を酸化除去したもので,銅含有量は,普 通約 98%である。 |
brister copper |
沈殿銅 | 銅化合物の水溶液から,通常,鉄で置換析出させた不純物を多量に含み,微細な形状の 金属銅と酸化銅の混合物。 参考 銅含有量は,乾燥状態で大きく変化し,普通約50∼85%の範囲にある。 |
cement copper |
精製銅 | 銅含有量 99.85%以上の金属か,銅含有量97.5%以上の金属で,次に規定する限度 (%) を 超えない他の元素を含有して供給されるもの。 Ag≦0.25 S≦0.7 As≦0.5 Sn≦0.8 Cd≦1.3 Te≦0.8 Cr≦1.4 Zn≦1.0 Mg≦0.8 Zr≦0.3 Pb≦1.5 その他合計≦0.3 |
refind copper |
脱酸銅 | りん,リチウム,ほう酸,若しくはカルシウムのような金属又は非金属の脱酸剤を限られた 量含み,酸化銅 (I)を含まない銅。 参考 りん脱酸銅が最もよく使われる。 |
deoxidized copper |
化学的精製 | 電気分解以外の方法で水溶液から銅を得る方法。 | chemical refining |
電解精製 | 銅を可溶性陽極として使い電気分解によって銅の純度を高める方法。 | electro-winning |
電解採取 | 非可溶性陽極を使い銅を含む電解質液から電着させて銅を採取する方法。 | electro-winning |
乾式精製 | 溶融状態で酸化し,続いて還元して銅を造る方法。 | fire refining |
さお銅, ワイヤバー | 電線製造用にまくら木形に鋳造された地金。 参考 圧延して引抜き素線か平板状にし,次に線,条,形材を製造するために普通 使われる。 |
wire bar |
このページの先頭へ▲
5)鋳物
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
鋳物 | 溶融金属又は合金を鋳型の中で凝固して造り,仕上がりの形に近い製品の一般用語。 | casting |
砂型鋳物 | 砂の鋳型の中で造られた鋳物。 | sand casting |
金型鋳物, チル鋳物 | 重力又は低圧力を用いて,溶融金属を金型の中に注湯して造られる鋳物。 | permanent mould casting ; chill casting |
ダイカスト, ダイカスト鋳物 | 高圧力を用いて,溶融金属を金型の中に注湯して造られる鋳物。 | pressure die casting ;die casting |
遠心鋳造鋳物 | 鋳物の主軸と回転軸が一致している回転鋳型の中で,遠心力によって造られる鋳物。 参考 鋳物の厚さは,鋳型の寸法と注がれる金属の量によって決まる。 |
centrifugal casting |
連続鋳造鋳物 | 鋳型の中に連続的に金属を供給して造られる鋳物。 参考 凝固しながら鋳型の他端部から鋳物は引き出されるが,長さは鋳型の寸法と 無関係である。 |
continuous casting |
このページの先頭へ▲
6)その他
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
IACS | 電気抵抗(又は電気伝導度)の基準として,国際的に採択された焼鈍標準軟銅。 参考 その体積抵抗率は,1.7241×10^−2µΩm(導電率100%IACS) と規定されている。 |
international annealed copper standard |
コイル単重 | 条の一巻きの質量。 | coil weight |
ミリ幅単重(ミリ単重) | 条製品において,コイル単重をコイル幅で除した1mm幅当たりの質量。 参考 単位は [kg/mm] で表す。 |
coil weight per 1mm width |
質別 | 伸銅品に特定の物理的又は機械的性質を付与するために,必要な処理を施した材料の 状態。 参考 処理には,熱処理によるものと,冷間加工によるものとがある。現行JISに規定 している質別記号及び概念を次に示す。 |
temper |
このページの先頭へ▲